要請書関連 » 2006/12/27 要請書「世田谷区二子玉川東地区再開発計画(とくに権利変換)の現況にかかわる件」

東京都知事・石原慎太郎様
東京都都市整備局・民間開発課、担当・関係各部局御中
世田谷区二子玉川東地区再開発計画(とくに権利変換)の現況にかかわる件

2006年12月27日

日々のよりよいまちづくりのための尽力に、敬意を表します。
「都内最大の民間再開発」とされる本件事業のきわめて緊迫した現況について、過日(11月8日、12月15日)、民間開発課において、再開発組合が強行しようとしている権利変換を中心に、憲法以下関係法規に照らして許容されるべきでない不当、不法な実態を、関係当事者から直接お話しし、認可・監督庁である東京都行政担当者として、厳正な対処をされるよう要請いたしました。 なにより本件の権利変換計画は、以下のように、認可申請をするに足る適法な事由と条件を満たしていません。したがって仮に認可申請が提出されても認可されるべきではなく、東京都知事と担当・関係各部局において、法と正義に照らし都市再開発法125条、126条にもとづく厳正な監督責任を果たされるよう、強く要請するものです。

  1. まず、本件の権利変換計画(基準)は、11月9日の再開発組合総会で議決されたとされます。しかし、権利者総数66中、賛成43という員数は、平成12年の都市計画決定前に、区から都に対し既に合意済みとして説明された4分の3はおろか、平成15年の事業認可申請時の法定最低要件である3分の2にも達していません。権利変換計画の公告縦覧にあたり提出された11意見書は、全部あるいはほとんどがこの計画に承服できず、重大な問題点を指摘して、計画のやり直しを要求するものであると、私たちは多くの提出者自身から聞いています。
  2. 再開発組合が都市再開発法110条の「全員同意」型でなく、法111条の地上権非設定型を採用した「特別の事情」について、権利者に明確に説明して決めたわけではありません。本来、権利変換では「財産が動くので全員同意が原則」(都民間開発課)であり、「特別の事情」があればこそその実現のための努力が求められるにもかかわらず、再開発組合として誠心誠意努力を尽くしたとは到底言えない事態にあることを、上述の数字が雄弁に物語っています。理事のなかからさえ、強い異論が出ているのが実態です。異常とも言うべき非民主的で違法な再開発組合のやり方の一端については、過日の私たちと都民間開発課との会見で、権利者がお話しした通りです。それは「氷山の一角」であって、「他はおして知るべし」であり、「限りなく全員同意をめざす」どころか、その姿勢にすらなってはいません。
  3. したがって、都としてはこうした現況において、「権利変換計画の合意形成には至っておらず、いわんや権利変換計画の認可申請をなしうる適法的な要件は成立していない」ことを明確に認定することが先決のはずです。
  4. 再開発組合は11月9日の総会で、公告・縦覧にあたり、個人情報をタテに都市再開発法83条と個人情報保護法16条3項1号を侵犯して、公衆への縦覧を妨げ、関係権利者に対しても自己の関係部分のみを見るように限定しようとする「付帯事項」を決議しています。これでは各権利者は、権利変換計画が「衡平」であるか否かを確認することはおろか、意見を述べる判断材料を与えられていません。再開発組合のこうした行為自体が、権利変換計画の合意形成を妨げる違法なふるまいであり、権利変換手続きそのものを違法、無効にするものといわなければなりません。その行為が、区民を守るべき立場にある区の担当部長以下6人の区職員の面前で堂々と行われたことはまことに遺憾であり、驚きを禁じえません。行政の不作為と癒着そのものではないでしょうか。
  5. そもそも、「権利変換計画は、災害を防止し、衛生を向上し、その他居住条件を改善する」「ように定めなければならない」(都市再開発法74条)にもかかわらず、実際はまったく逆になっています。仮にも本件権利変換計画が認可され、事業が進むようなことになれば、多くの関係権利者にとってばかりか、この地域住民全体にとって水害・震災などの災害の危険と自動車交通増などによる渋滞・排ガス等の公害の発生を増幅し、自然・住環境の悪化をもたらすことは明白です。私たちは本件再開発組合を被告に事業差し止めを求めた民事訴訟で、そのことを詳細に立証しています。また、かかる違法な再開発事業に公金投入は認められないため、世田谷区にたいして、すでに支出した平成17年度予算5億円余の返還と、平成18年度予算44億円の支出停止を求める監査請求を提出しています(別紙添付資料をご参照ください)。事業に公共性がないのに、公金を投入された挙句、公害・災害を撒き散らされたのではたまりません。
  6. ことは権利変換計画のやり方にとどまりません。再開発組合は当該法令に反して、事業計画の開示を拒否し、事業の進捗状況にかんする説明を拒否してきました。11月9日の総会に関する説明を求めたのに対しては、「行政に聞いてくれ」(組合事務局)という態度をとっています。こういう態度で事業を進めようとすること自体が、本件事業の覆いがたい問題点を如実に露呈させています。また、組合事務局による権利者の人権侵害に及ぶ「同意」とりつけ手法のさまざまな問題点が、過去から最近に至るまで、権利者からたびたび告発されており、「権利変換計画は、関係権利者間の利害の衡平に十分の考慮を払って定めなければならない」(法74条2項)にもかかわらず、そうはなっていない状況にあります。お求めなら証人=権利者を紹介いたします。民主主義と人間の尊厳にかかわる不当、違法行為で強引に作成された権利変換計画を「軽微な変更」で進行させればよく、それは権利変換計画を認可した後でもできる、ということには断じてなりません。
  7. もともと、本件再開発計画では東急グループが圧倒的な比重の「権利者」であり、再開発スキームを使うにしても、実態に即して「個人施行」にすれば税金投入をしないですむにもかかわらず、全国にも類例のない巨額の税金投入を当て込むという異様な構造が形づくられています。 現に東急グループは、今回権利変換計画を認可に持ち込もうとしている「一期」から切り離した「二期」のIIa街区を、単独事業で行おうとするかのような態度をあからさまにしています。今回の権利変換計画では、「一期」の権利者はIIa街区に権利を変換できません。すなわち、本来「一体的かつ総合的」(法2条の3)におこなうべき再開発事業で「一期」「二期」の「工期分け」自体に違法性が強い上、そのことによって権利者の「権利排除」=人権・財産権の侵害が引き起こされています。そもそもIIa街区は、「一体的」であるべき本件再開発計画の中核部分です。これらの点でも重大な違法性をはらむ本件事業に巨額の税金を投入してもっぱら一企業グループの利潤を増進させようとする一方、都内で他に得がたい多摩川と国分寺崖線に囲まれた良好な自然・住環境を破壊して広範な住民の生存権を侵犯し、多くの不同意の権利者の財産権を侵犯するという憲法違反の人権侵害を重ねることになる今回の権利変換計画を認可できる正当な事由と条件は、どこにも存在しないといわざるをえません。

東京都知事と担当・関係各部局におかれましては、以上の諸点を十分考慮され、「権利変換手続きのやり直し」を含む厳正な対処によって監督責任を果たされるよう重ねて要請いたします。

「にこたまの環境を守る会」
会長・野崎 宏

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